BeYondLabo#15「武蔵野市の無人本屋BOOK ROADこの店に込めた思い」レポート

久しぶりの記事になってしまいました。
なかなかアウトプットの習慣が身につかない、代表の上澤です。
今回は、かねてより活動のサポートという形で関わらせていただいている武蔵野・三鷹の学びの場「BeYondLabo」にスタッフではなく、いち参加者としていってきたのでそのレポートです。

BeYondLabo#15は武蔵野市の西久保にあるネットメディアやTVにも取り上げられて今話題の無人本屋「BOOK ROAD」(Twitter:@bookroad_mujin)の中西功さんをBeyonderに迎えての学びの場です。

中西さんが無人本屋をはじめる前は反対意見ばかり。
だからこそ、新規性があると捉え、無人本屋をはじめたようです。
そして、いかに継続していくか?事業としてのシステムや場の管理よりも、「お客さんとのかかわり」が事業にとって大切なことの7割を占めると中西さんは言います。
なにをするにしても、そこには人が介在していて、人を大切に出来ないと何も始まらないのだなと、改めて学びました。

もくじ

事業に取り組む際のチェックポイントは2つ

「新規性」と「継続性」。
目新しいということだけが新規性というわけでもなく、掛け合わせることで新規性が出てくる。
中西さんは自分しかやらなそうで、大好きなことをやろうと考えたそうです。

大好きな本 + 無人販売 = 無人本屋

建築家の言葉で(名前失念・本だったかも?)「違うレイヤーで戦う」という言葉があるそうで、いわゆるレッドオーシャンで戦っても勝てない。ブルーオーシャンを見出す的な話かなと思います。

無人の本屋という新規性と、ガチャガチャで本を販売するというアイデアなども加わって、インスタレーション作品のような無人本屋「BOOK ROAD」が出来上がります。

無人本屋BOOK ROADのスライドと中西功さん

不便さが必要条件

しかし、この仕組みだけではうまくいきません。
この本屋さんは三鷹の駅から少し歩きますし、スペースも小さいため本の種類も少ないです。
実は、そこもポイントの一つで、「不便さ」はこの場合、必要条件になるのです。
不便さがあることで、店舗へと足を運んでくれる人はかなり選別されます。
わざわざそこへ行くためには、ついでというよりは明確な意思をもってそこへ向かいます。そうすることで、お店のコンセプトに共感したり本当に興味を持ったひと、ファン予備軍が店舗には訪れてくれるようになります。

どうしても、何かをはじめようとする場合、いろいろな人に来て欲しいとか万人受けを求めてしまいがちです。しかし、それはターゲットがブレることにもなり、今の時代にそぐわないのかもしれません。

より、ターゲットを絞り込むことで、サービスとしてのエッジも鋭くなっていく気がします。そして、そこについてきてくれるファンはより強固なきずなでサービスと結びついてくれるのではないでしょうか?

不便さは必要条件

システムとしての余白

「かかわり代」を作ることでユーザーがかかわってくれる。
この匙加減はとても難しそうですが、とても大切な部分です。

店舗は無人なので、表紙が見えるように陳列されている本が売れてしまうと、そこがぽっかり空いてしまいます。
しかし、大抵そこには買った方が別の本を置いてくれるそうです。
はたまた、表紙の見える本をお客さんが勝手にセレクトして並べ替えたりもされているようです。

これは無人ならではのお店とお客さんのかかわり方だなと思いますし、そういったかかわり代ががあることで、ファンも一緒にお店を支えている実感が出てきます。

また、店舗には木箱が置いてあり、本の寄付やメッセージ、お土産が入っていたりするそうです。そんなコミュニケーションがちょっと変わった本屋を作り上げているのです。

お客さんとのかかわり

そんな新規性のある無人本屋ですが、中西さんは事業の大切さの比率は次のようだといいます。

仕組み(1割) + 場の管理(2割) + お客さんとのかかわり(7割)

新規の事業を立ち上げる熱量は大切です。
しかし、徐々にその熱は冷めていきます。大抵数年もするとそのサービスは無くなってしまったりします。

大切な7割をきちんと行うためには、継続が出来なければいけません。
この本屋は24時間営業にすることで、中西さん本人が足を運ぶ回数を少なくすることが出来、その分コストや、継続のハードルを下げることが出来ています。

やり続ける、言い続ける、信じ切る

一番大切なことは

「やり続ける、言い続ける、信じ切る」

継続は力なりとよく言いますが、言うは易し行うは難しです。
継続することで次の展開も生まれるし、発信し続けることで様々な人に届くようになるのだと思います。

そして、一番難しいのが「信じ切る」ことかもしれません。
そのサービスが本当に必要なのか?やる意味があるのか?
新規の事業を始めるときに迷いは必ず付いてきます。相談したりしたら、必ず否定的な意見が出てくるでしょう。でも、否定されるということは誰もやらないという新規性の芽かもしれません。もう少し掘り下げてみてもいいかもしれませんよ?

次に吉祥寺に新店舗をオープン予定の中西さん。
いまからとても楽しみです!

自分も、今少しづつ動いている事業をきちんと動かす勇気をもらった気がしました。
継続できる、ちょっと新規性のある事業が作れるよう頑張ります。

上澤進介
1999年多摩美術大学美術学部建築学科を卒業後、設計事務所、デザイン事務所をへて、2005年4月フリーランス(屋号「くりぬき」)として独立。2008年6月3日、株式会社まめなり設立。現在に至る。 二児の父。地域活動に関心をもちコミュニティ活動に関わる方々と学びを深めている。